犬の落とし物に関する看板

 W杯で日本は快進撃で、決勝トーナメントに進んだ。大会前からは掌を返したようなマスコミや国民の盛り上がり方にはちょっと首を傾げたくなる部分もあるが、開会前には想像できなかったような勢いがあるので、明日の晩(今晩)の試合が楽しみだ。

 

 オランダとデンマークには行ったことがあったので、ごみ箱やごみに関する情報があるが、次はパラグアイ戦である。パラグアイはもちろん、南米にも足を踏み入れたことがないので、パラグアイのごみ箱はありません……。世界のごみ箱も看板倒れですね。

 

 ということで、今日は全く別の写真を。数年前に学会で訪ねた山口県、宇部市で見掛けた看板です。

 

「ビン、缶、犬の糞便その他の廃棄物」という括りが面白いですね。
犬の何とも悲しげな目が印象的です。

 

オランダとデンマーク2

 オランダには負けてしまったが、今日はいよいよデンマーク戦である。今日のW杯の試合は標高1500mぐらいの場所で行われるそうだ。今回南米チームが好調なのは、もっと標高の高い所で南米予選が行われているから……というような記事も見掛けた。となれば、デンマークよりも日本の方が少し有利かもしれない。

 

■    ■    ■    ■    ■    ■

 

 前回、オランダとデンマークは、焼却灰の有効利用のツートップだと書いた。デンマークもオランダ同様に天然の土木資材が少なくて、焼却灰は積極的に利用している。と言うのも、デンマークの地理を知るとよく分かる。実はデンマークという国は、非常に平べったい国で、国土の中で一番高い場所でも標高が170m程しかないらしい。つまり山が全くないのである。日本などは山に囲まれているから、土木資材として必要な砂利などは、山を削れば作れる(それはそれで問題ではあるが)のだが、デンマークは国中を見渡しても山が全くないのだから、土や砂利などを取りようがない。仕方がないから、外国から輸入したりすることになるので、国内から出てくる焼却灰なども、使えるのなら何としてでも使いたいと言う気になるというのもよく分かる。と言うことで、高地での試合なら日本に分があるのでは……というのが、冒頭のお気楽な発言の趣旨である。

 

 ところで”国土が平坦”というのは、日本のような山国とは全く異なる自然環境である。冬になれば北極海から強い風が吹いてくるのに、山が無くて非常に平坦だから、ものすごく強い風が国中を吹き荒れたりする。デンマークには半年住んでいたが、あの国の紹介としては「風の強い国(Windy)」というのが一番適切な気がする。自転車で走っても逆風だと全く進まないばかりか、下手をすれば押し戻されそうになる程だ。デンマークで暮らしてみて、あの国で風力発電が発達した理由がよく分かった。ここなら、風力発電もうまく行くだろう……と。

 

 そもそもデンマークは、山というか高低差がなくて水力発電などは出来ないから風に注目したのであって、別に環境に良いと思って風力発電を開発したわけではないだろう。デンマークには原発がないのは事実だが、隣のスウェーデンから原発で発電した電気を買っている。留学中にコペンハーゲン周辺のかなりの範囲で停電が起こって困ったことがあったが、これもスウェーデンの原発か送電線のトラブルで、電気が来なくなったからだった。

 

 オランダの風車も有名だが、日本では国土の特徴を活かして水車を利用していたように、彼らは風車を利用していたということなのである。そういう背景を正しく理解することもなしに、海外の技術だけを真似してみても、うまく行くものではない。最近は、環境にやさしいといってあちこちの山奥に風力発電の風車が立ったりしているが、貴重な山を切り崩しながら、風車を建てるなどと言うのは、まったく馬鹿げているように思う。その辺り、欧米のものは何でも有りがたがるのではなく、背景をきちんと理解することが大事だと思う。

 

 ちょっと話がずれてしまったが、あと2時間ほどで、いよいよデンマーク戦が始まる。風車と水車ではないが、日本には日本のサッカースタイルが、デンマークにはデンマークのサッカースタイルがある。体格も考え方も違うのだから、それぞれの特徴を活かした戦略が重要だし、その違いがぶつかるところが面白い。両国が自分の持ち味を活かした良いゲームになることを期待している。その上で、日本が勝てば最高なのだが、さてどうだろうか?

 

 

海上に並ぶ風車。船から見学。



海側から見る人魚の像。ちょっと珍しい光景では。

 

 

コペンハーゲンのレンタサイクル(無料のはず!)。

平坦な土地なので自転車は重要な交通手段です。

 

最後はおきまりのごみ箱で。

コペンハーゲン・ニューハウンです。

オランダとデンマーク1

 ワールドカップでは、日本がカメルーンに勝ってくれて、急激に盛り上がってきている。オランダもデンマークも強敵だが、せっかくなので、決勝リーグへ行ってくれればと思う。

 

 とは言いながら、対戦相手がオランダ・デンマークというのは自分にとってはちょっと複雑だ。オランダには今年の3月頃に10日ほど居たことはこのブログでも紹介したが、15年ほど前にも3週間ほど滞在したことがある。デンマークには半年ほど留学していた。いずれも現地の研究者を頼って、研究所に長期で滞在した。

 

 私は、焼却灰の有効利用や、有効利用する時の環境影響を予測するための試験(ごみや焼却灰が水と接触したときに、どの程度の有害物質が溶け出てくるのかを調べる試験で、溶出試験と言う)を研究している。実はオランダとデンマークは焼却灰(正確には焼却主灰)の有効利用率が世界の中でもかなり高い2カ国なのである。1990年代前半の少し古いデータしか手元にないが、日本をはじめ、米国などでも、焼却灰はほとんど有効利用できていない中、オランダもデンマークも国内から発生する焼却主灰の90%程度を有効利用している。焼却灰有効利用のツートップである。

 

 また溶出試験に関する研究も進んでいる。特にオランダのDr. Hans van der Slootは1980年代からこの分野を先導してきた研究者で、私も学生時代から彼の論文を一生懸命読んで勉強した。学会で初めて会ったときにはサインを欲しいと思った程の研究者なのだが、偉ぶったところが全くなく、いろいろ質問すると何でも親切に教えてくれる。先日の訪問時にも家に招待してくれたり、宿の手配から空港でのピックアップまでお世話になりっぱなしであった。

 

 さて、オランダで焼却灰の有効利用が進んでいる理由は、土木資材が貴重だからである。「世界を作ったのは神様だが、オランダはオランダ人が作った。」というような笑い話を聞いたこともあるが、オランダは昔から海を埋め立てて国土を広げて来た。そのためには土木技術が進んでいることはもちろん必要だが、土木資材としての砂利や砂や土が必要で、それらの代替物質として焼却灰を利用しているのである。

 

 ただし、焼却灰を積極的に有効利用しているからこそ、その環境影響予測にも熱心で、予測するための試験法や評価手法はいろいろ開発されているし、安全な焼却灰とするために焼却処理にも厳しい条件を課している。そんなことがあり、焼却灰の有効利用に当たっての考え方やら、試験の方法やら、環境影響の予測手法やらを学びにオランダの研究所(オランダ エネルギー省研究所:ECN)を訪問し、いろいろ学んで来たのである。研究所では、ハンス先生の他にも数人のメンバーがチームになっていて、いろいろな人にお世話になった。

 

 ということでオランダには研究上の友人も多いから、明日のオランダ戦はちょっと複雑な思いを持ちながら楽しみにしている。さあ、明日の試合結果は、どうだろうか?

 


招待して頂いたHans先生の自宅で。

ごみ箱を見せて欲しいとお願いするとシンクの下からスルスルと。

スマートですね。

 

最近あらたに、容器包装プラスチックを回収するようになったとのこと。

奥(上側)が容器包装プラです。

 

 

プロフィール

水谷聡

Author:水谷聡
@大阪市立大学 工学部 都市学科

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