マルチリンガルのごみ箱

 私は愛知県の豊田市の出身である。小学生の頃,クラスの仲間の9割ぐらいの親は,トヨタ自動車とその系列会社に勤めていて,会社と言えばトヨタ自動車,それ以外の仕事をしている人と言えば,ほとんどが自営業の人という状況だった。ただ,それが異様な状態であるということに気が付いたのは,恥ずかしながら,高校生になってからだった。


3年ほど前,久しぶりに豊田の実家へ帰省したとき,駅と市役所や病院などの間を走る巡回バスの時刻表が日本語と英語の他にポルトガル語で記載されていて驚いた。テレビなどでトヨタにブラジル人の労働者が多いことは聞いたことはあったが,完全に日常生活に入り込んでいることがよく分かった。

ごみ箱も最近は分別用のものが増えていて,そう言うごみ箱は,投入口に捨てるべきごみの種類が書かれていることが多い。日本でも世界でも,その国の言葉と英語,という組合せをよく見掛けるが,異なる言語を持つ人たちが行き交う所にあるごみ箱は,いろいろな言葉で書かれていることになるから,どんな人がそこを利用するのかが分かる。たかがごみ箱だが,そんなことも見えてくる。

 

ドイツ南部,マインツ駅のホーム。
ドイツ語と英語とフランス語(おそらく)で書かれている。

左から,「容器包装」「紙」「それ以外のごみ」「ガラス」。

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水谷聡

Author:水谷聡
@大阪市立大学 工学部 都市学科

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