マルチリンガルのごみ箱

 私は愛知県の豊田市の出身である。小学生の頃,クラスの仲間の9割ぐらいの親は,トヨタ自動車とその系列会社に勤めていて,会社と言えばトヨタ自動車,それ以外の仕事をしている人と言えば,ほとんどが自営業の人という状況だった。ただ,それが異様な状態であるということに気が付いたのは,恥ずかしながら,高校生になってからだった。


3年ほど前,久しぶりに豊田の実家へ帰省したとき,駅と市役所や病院などの間を走る巡回バスの時刻表が日本語と英語の他にポルトガル語で記載されていて驚いた。テレビなどでトヨタにブラジル人の労働者が多いことは聞いたことはあったが,完全に日常生活に入り込んでいることがよく分かった。

ごみ箱も最近は分別用のものが増えていて,そう言うごみ箱は,投入口に捨てるべきごみの種類が書かれていることが多い。日本でも世界でも,その国の言葉と英語,という組合せをよく見掛けるが,異なる言語を持つ人たちが行き交う所にあるごみ箱は,いろいろな言葉で書かれていることになるから,どんな人がそこを利用するのかが分かる。たかがごみ箱だが,そんなことも見えてくる。

 

ドイツ南部,マインツ駅のホーム。
ドイツ語と英語とフランス語(おそらく)で書かれている。

左から,「容器包装」「紙」「それ以外のごみ」「ガラス」。

デンマークの遊園地のごみ箱

 数年前,デンマークに半年ほど留学していた。自分の研究の専門分野が焼却灰の有効利用なのだが,特にデンマークとオランダは,焼却灰の有効利用率が高く,いろいろと学ぶべきことがあったのである。とは言え,焼却灰などの有効利用の話は別の機会に書くことにする。

デンマークの首都コペンハーゲンの郊外に,bakkenという遊園地がある。デンマークの遊園地というとチボリが有名だが,このbakkenもデンマーク人なら誰でも知っている遊園地である。私が住んでいたHyldegardsvejという住宅街から近かったこともあって,bakkenには何度か出掛けた。こぢんまりとしてレトロな雰囲気の遊園地なのだが,子どもも大人も大喜びで乗り物などに乗っていたのが印象的だった。

 ここの遊園地で見掛けたごみ箱がこちら。  

 


どちらも看板の役割もありそうです。
 

「世界のごみ箱」のきっかけ

 ごみ箱に興味を持つようになったのがいつ頃なのかはあまりはっきり覚えていないが,写真を撮り集め始めたのには2つのきっかけがあって,どちらも中国が絡んでいる。

 大学院の学生だった頃,家族5人で中国に旅行した。その時にパンダや龍をあしらったごみ箱があって,面白いのでいろいろ写真を撮った。その頃はまだデジカメではなくレンズつきフィルムだったので,当時の写真はアルバムを探さないと見つからないのだが,いろいろなごみ箱があることに気付くきっかけにはなった。

 

 「世界のごみ箱」を列挙したら面白いと思ったのは,もう少し後になる。1999年にやはり中国を旅行した。この時は観光ツアーで北京の名所を回ったのだが,その時,衝撃的なごみ箱に出会った。その写真がこれ。

 


ごみ箱自体は別に珍しくもないのだが,分かる人はすぐ分かると思うが,天安門広場である。写真の後ろの壁のもう少し左の方に毛沢東の肖像画が飾られている。

 天安門広場といえば,学生時代にあった1989年の天安門事件の印象しかなかったのだが,そこに当時はまだ一般的ではなかった分別用のごみ箱があったことにずいぶん驚いた。

 このごみ箱は気に入っていて,この写真は大学の講義でも必ず紹介することにしている。写真としては人が多くてごちゃごちゃしてしまっているのが少し残念だが,それも中国らしいのかもしれない。

プロフィール

水谷聡

Author:水谷聡
@大阪市立大学 工学部 都市学科

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