リユースとSDGs

最近はSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)もすっかり一般的になった。

テレビのCMや,ニュースの特集(というか,1週間ぐらい続けるコーナーみたいなもの)などでも
普通に見掛ける気がする。
このブログでも,数回前(といっても昨年の10月……)に,SDGs列車の話を取り上げて,
SDGsの簡単な説明も書いた。
その記事は,こちら。
(その記事に拍手コメントをくれた同級生のF君,連絡先が分からず困っています。すいません。)

そこでもさらっと書いたのだが,3年ほど前には,大学の同僚の間でも,
「SDGsって何?」というような発言がでるような状況だったが,
最近は大学としてもSDGsに力を入れるようになって,専用のHPもできるようになった。
OSAKA CITY UNIVERSITY and SDGs のページ
近々,正式な組織も立ち上がるようで,大学全体で何ができるか楽しみにしている。

その組織を作るためか,先日,各教員に,自分の研究テーマに関係するSDGsの番号を選べ,
という指示があった。
しかし,これがなかなか難しい。

そもそもSDGsは非常に幅が広くて,
17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲット,からなっている。
詳細はこちらがわかりやすい。
イマココラボ SDGs(持続可能な開発目標)17の目標&169ターゲット個別解説

広く考えれば,いろいろと該当するように見えるけれども,
限定的に考えると,そこまで直接的には関係ないような気がしてしまう
(というか,自分の研究が,直接的に世界を救うようにもなかなか思えない……という話。)

私はごみ問題を研究しているから,普通に考えると
12番の「つくる責任 つかう責任」
に該当するのだろうけれど,
ごみの焼却灰の有効利用や安定化処理などのテーマは,
SDGs全体の高邁な話と比べると,ずいぶん小さな(というか局所的な)話に感じられて
なかなか「つくる責任 使う責任」を問うような研究に思えてこないのである。
まあ,ターゲットまでしっかり読めば,いろいろと該当するものはあるのだけれど。

また,12番以外のSDGsの目標に,ごみに関する研究がどんな形でつながっていくのか,
なかなか説明しづらいなと感じていた。

ところが今日,朝日新聞デジタルのいい記事を読んだ。
愛媛県伊予市にある子ども用品専門のリサイクルショップを紹介した記事で,
その記事へのリンクは,こちら。
朝日新聞デジタル ランドセルが800円 「おさがり」学用品店、原点は私 (2021年2月28日)

経営者の逢沢亜月さんはインタビューの中で,リユースをすることが,
貧困をなくしたり,子育てのしやすいまちづくりにつながったりする可能性に触れて,
それがSDGsにつながるのではないかと述べている。

これを読んで,ストンと腑に落ちた。

確かに,こんなアプローチを考えれば,使い終わった製品のリユースが,
・貧困をなくしたり(1番),
・健康や福祉の充実につながったり(3番),
・教育の質を高めたり(4番),
・不平等をなくしたり(10番),
・住み続けられる街を作ったり(11番),
につながっていく,ということが実感できる。

改めて,いろいろなSDGsへの貢献の仕方がある,ということを思い知らされました。

堺市のSDGsの旗
堺市役所に行った時に見掛けました。

阪急電車のSDGsトレイン

日頃よく利用するのはJRなのだが,先日,私用で阪急列車を利用したら,
帰りに乗った列車に以下のようなマークが付いていた。

行きは気が付かなかったのだが,単にぼーっとしていたのか,
あるいは列車によってマークのあるものとないものがあるのかもしれない。
阪急SDGsトレインマーク
阪急と東急は仲が良いのでしょうか。鉄道事情はよく知らないもので。

SDGsは,2015年9月の国連サミットで採択された「Sustainable Development Goals」の頭文字で,
持続可能な開発目標と呼ばれる。
国連に加盟している200近い国が2016年から2030年までの15年間で達成するために掲げた目標で,
以下のような,幅の広い,17種類の大きな目標が掲げられている。

①貧困 ②飢餓 ③健康と福祉 ④教育 ⑤ジェンダー ⑥安全な水とトイレ 
⑦エネルギー ⑧働きがいと経済成長 ⑨産業と技術革新 
⑩人や国の不平等 ⑪まちづくり ⑫つくる責任 つかう責任 
⑬気候変動 ⑭海の豊かさ ⑮陸の豊かさ ⑯平和と公正 
⑰グローバル・パートナーシップ

というような説明も不要なほど,最近は一般的になってきて,
ポスターを街中で見掛ける機会も多くなった。
行き交う人々のSDGsのピンバッジを付けているのを見る機会も多い。
小学校でも習うようだから,SDGsは,もう常識になっているのだろう。

と言っても,実は2018年の春に,学科の会議でSDGsが話題になった時には,
「SDGsって何?」というような反応が数人の同僚からあったほどで,
今から思えば,ずいぶん恥ずかしい思い出である。

さて,ごみやリサイクルに関して最も関連が深いのは,
12番の「つくる責任 つかう責任」 で,
「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」とされている。
使い終わって捨てられ,リサイクルされたり,適切に処理指されたり,
ということを想定した生産が求められているし,買って使う側も,
そんな姿勢が求められていると言うことである。


それはそれとして,阪急電車のSDGsトレインだが,
列車の中吊り広告もSDGs仕様になっていた。
企業の広告を載せれば幾ばくかの広告収入が得られるところを,
SDGsのアピールに使っているのだから身を削っているわけで,
環境配慮に向けた活動を重視するスタンスが伝わって来て,応援したくなる。

さて,たまたま私が乗り合わせた場所に一番ちかい広告が,12番だった。

阪急SDGsトレインマーク
おお,一番近いのが12番。狙ったわけではないのですが。

左側が目標のロゴマークと目標をわかりやすく解説したポスターで,
右側には具体的を促すポスターの組合せになっているらしい。

ポスターの「買い物は投票です」とはインパクトのある良い言葉で,いいな~と思った。
環境に配慮した買い物行動をする人は,緑の消費者(グリーンコンシューマー)と呼ばれる。
企業は消費者の買いたい物を作るのだから,消費者の動向には注意を払っている。
だからイニシャティブは,本来は消費者が持っている筈で,
まさに買うことは企業や商品への投票と言える。

自分の消費行動を振り返って,正直言って,総てを環境配慮型に出来ている自信はないけれども,
できる限り配慮しようと,改めて思った。

阪急SDGsトレインマーク
降りて見ると,車両のドアごとに,SDGs目標が貼られていたので,12番を撮ってきました。日常的には乗らないので,全部揃えるのは,大変そうです。
プロフィール

水谷聡

Author:水谷聡
@大阪市立大学 工学部 都市学科

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